タイヤの構造
(タイヤコードで補強されている)
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現役時代はタイヤコードの仕事が長かった。特に最後はタイヤコード製造会社のトップとして気を緩められない日々を過ごした。火災、事故、怪我、そして不正のない会社運営に没頭していた。
昨日の報道で、コンペチターである合成繊維、いや今では総合化学メーカーの同じ業種の子会社で不正問題が発覚した。規格アウトのデータを改竄していたというもの。
昨年、会社はその不正を把握していたが公表していなかった。神戸製鋼などのデータ改竄問題が公になり、またネット上で会社に問い合わせが来るなどして、公表せざるを得なくなったという。
タイヤコードのビジネスは出荷ごとに出荷伝票の他に、検査表を必ずつける。合格の製品であることを証明する書類である。規格アウトの場合、軽度の場合は顧客に特採(特別採用)を依頼して了解が取れれば出荷することが可能である。
しかし特採の場合、何らかの価格ダウンを要求される。価格を下げて納入し、問題のないことが判明してくる場合がある。それを繰り返していると、その結果価格を下げることを避けるために、ある程度の規格アウトなら使用可能との供給側の勝手な判断でデーター改竄が生まれたものと思う。
最初にデーター改竄を判断した人はそのまま不正を続けることになるが、いずれ他の人が担当することにより不正が判明する。しかし問題が大きくなることを避けるために、そのまま引き継いでいくことになる。
その慣例を打ち切ったのが今回の公表と思う。これからの成り行きがどうなるか予想は難しいが、親会社、その子会社の受けたダメージは大きい。日本の製造業で続発する不正は、今始まったものではない。高度成長時代の無理したひずみが、今噴出しているとみる。
一昨年の杭打ち偽装問題、そして今回のデータ改竄問題と、合成繊維業界の3大企業の2社で不正問題が続いた。残る1社は現役時代勤めた会社である。問題のないよう願うばかりである。
今回問題のあった子会社は、現役時代にトップを勤めた会社と全く同じ業種である。昨日の報道で、親会社社長、専務、そして子会社社長が3人そろって謝罪している光景をまたも見せられた。杭打ち偽装の場合は建築業ということで業種も異なったが、今回は同じ業種ということで身近に感じる。一昨年の事件の時以上に背筋が凍る思いである。
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