2023年11月4日土曜日

Esophagearl Cancer(食道がん)

 
New Factory of TMI Europe under Construction at Vercelli in Italy

(Photographed in 1994) 

建設中のTMIヨーロッパ工場(イタリア・ベルチェリ)

Factory of TMI Europe in Italy(イタリアのTMIヨーロッパ工場)

Office and Weaving Factory

Dying Factory(染色工場)

  今から30年ほど前、ヨーロッパ駐在員時代の一番のプロジェクトはヨーロッパに新合繊の工場を作ることであった。

  結局、繊維産業の盛んなイタリアに、イタリアのシルク織物メーカーマンテロ社と伊藤忠商事との三社合弁で、TMIヨーロッパという会社を設立した。

  工場はイタリアリゾットの産地であるベルチェリに建設した。その時、染色工場の責任者として日本から派遣されたのが同僚であった。

  この同僚は年は私より若いが高校、大学、大学院と同じ学校で、しかも勤めた会社も同じになった。付き合いは、ほぼ60年になる。

  先日その同僚の訃報を受けた。食道がんで亡くなったという。

  TMIヨーロッパは、当時世界に輸出していたポリエステル新合繊織物を製造販売する会社である。新合繊とはシルク調、梳毛調などの布帛で、ポリエステル原糸、撚糸、製織、染色加工のトータル技術で可能になったもの。

  しかし結果は失敗に終わる。理由は2点であった。

  一つは、設備投資額を削減するために、日本で使っていた燃糸機、経糸準備機、製織機、染色加工機などを、ヨーロッパ製に変更したことであった。

  その結果、日本で得られていた製品性能が再現できなかった。日本製商品は、幻となってしまった。

  もう一つは、ヨーロッパでは本物のシルク織物、本物の梳毛織物が高級服地として作られており、ポリエステル織物は結局はまがい物との認識になってしまったことにある。

  当時同僚は、倉庫に山積みされる在庫の織物を見て、さぞかし苦しかったことと思う。精神的にも、肉体的にも極限の状態が続いたようである。

  その時の体に与えたダメージは大きかったが、帰国後は見た目明るく振舞っていた。

  小さなガン細胞は長い時間をかけて成長してゆき、免疫力が無くなった時に発病するという。同僚もイタリア時代のダメージが具体化したのではないかと推定する。

  今まで食道がんのみならずがんは、私自身も含めて身近で頻繁に見てきているが、そのほとんどはタバコ、酒、プールなどの塩素、少量で問題ないとされるいろいろな有害物質の影響と考えられる。

  そして睡眠不足、ストレスが加わり、免疫力が下がるとがんが顕在化する。

  同僚のように明るく振舞っていても、免疫力の低下を抑えることは出来なかったということになる。

  とにかくがん対策には、まずは有害物質を少量とはいえ取り込まないこと、そして免疫力を維持することに尽きる考えてよい。

  同僚はタバコは吸っていなかったが、食事など他の生活はどうだったのか。ビーガン生活をしていればまた違った人生になっていたことと思う。

  まことに残念である。合掌。

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