Teijin Frontier developed Mixel NP
(from WEB News)
先日のWEBニュースで帝人フロンティアがミクセルNPを開発したとの記事が出ていた。
ミクセル(Mixel)といいえば、今から50年ほど前に現役時代の会社で技術開発・生産業務・商品開発などで扱っていた繊維である。
紡績糸のような単繊維で出来た糸は、綿の段階で異種の繊維を簡単に混ぜることができ、混紡糸として早くから普及している。異種の繊維を混ぜることによりそれぞれの特徴を生かせた繊維製品が可能になる。
その混ぜるという技術を長繊維であるマルチフィラメント糸に適用するのは難しかった。数本のマルチフィラメント糸を単に合わせて合糸・撚糸した場合、塊状態で糸となるため片方の糸の特徴しか出ないというのが普通である。
一本のフィラメントのレベルでランダムに混ぜるという技術は、長い間夢の技術であった。
それを実現したのがミクセルの技術である。高電圧電界の中にマルチフィラメントを通し、マルチフィラメントを開かせ、異種のフィラメント同士をランダムに混ぜることに世界で初めて成功したのである。
開発段階では、なかなかフィラメントが安定して開かず、開くときと開かないときがあった。観察の結果、どうも湿度の高い時に開きやすいという事実に気がついた。それで高電圧をかける前に水の霧吹きをかけると、安定して開くことが分かった。
水がフィラメント表面に付着することにより表面電荷が同じものになり反発して開くという原理である。その名を電気開繊法と呼んだ。そしてそのマルチフィラメントは、一般的には混繊糸と呼ばれる。
製品としては、アセテートとテトロン(ポリエステル)、アセテートとナイロンの組み合わせで、それぞれミクセルAT(Mixel AT)、ミクセルAN(Mixel AN)と呼ばれた。
アセテートの持っている光沢・吸湿性とテトロン、ナイロンの特質を兼ね備え、さらには熱収縮差を利用した嵩高性のある布帛の生産が可能になった。
和装、婦人用服などの高級品に販売され、若いときの仕事の良き思い出である。
その後テトロンの異なる特性のマルチフィラメントを混ぜる商品としてミクセルⅢも商品化された。
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