Synthetic Fiber Fabrics being higher price than Silk are sold well in Milan
(WEB News)
琵琶湖最北に余呉湖がある。ここの有名な伝説に余呉の羽衣伝説がある。この羽衣は天女の羽衣(Celestial Raiment of Angel)として知られている。
そのイメージは柔らかい透けるような薄い布である。そのような織物を合成繊維で商品として展開し、ヨーロッパで商圏を増やしている会社がある。
繊維そのものは自家工場で製造するが、テキスタイルは主に北陸などの織編物染色会社に委託生産する。近年中国にその生産技術が移り、コスト安からかなりの生産は北陸地区から無くなっていった。
その中で北陸の織物会社が独自に極薄織物の製造技術、製品開発を進めて成功した話が本日のWEBニュースに出ていた。
石川県長尾にある天地合繊という40名の小さな会社である。合繊会社からの下請け注文が無くなり、倒産寸前にまで追い込まれた。それで独自の商品技術を開発、まずはミラノの展示会に出展。そのとき僅か6社の名刺しかもらえなかったが、そのうちの1社はミラノファッションのデザイナーで、天女の羽衣のような織物を探していたという。
さっそく商売が始まり、その素材の評判が広がりヨーロッパの有名ブランドが採用することにより、会社自体が立ち直ったという。
絹より細い合成繊維で製織技術は難しいものがある。しかし、透明感のあるしなやかな風合いはシルクでも難しく、価格はシルクより高くても売れる。
今では汎用の合成繊維商品の生産は中国などのコスト安の国に移転してしまったが、日本独自の生きる道はあるということの証明である。
ヨーロッパ、とくにイタリア人には新しい素材を掘り出す天性の遺伝子があるようである。日本で開発された本革以上の特性を持ったアルカンターラ(エクセーヌ)も日本では全く売れず、まずはイタリアで花咲いている。同じ歴史である。
ところで、今まで日本で開発された技術がいとも簡単に周辺諸国に移転してしまっている。一つの大きな要因の一つが、研究者・技術者の待遇問題である。中国などからの技術者の誘いに、年収2000万円、3000万円などの額を示されると、その誘いに乗る人がほとんどであった。
開発国にとって、そのノウハウが僅か2~3000万円で入手できるので安い投資である。日本の工業技術発展に重要な役割を果たした研究者・技術者は、ほとんど普通のサラリーマンと同じ待遇で終わっている事実がある。
ようやく、特許をとった人にはかなりの高額の報償制度もできつつあるが、まだまだ不十分と思う。私の場合も数億円単位で他社に売れた特許の実施賞はわずか十万円であった。
同じ歴史を繰り返さないためには、研究者・技術者の待遇改善、文化功労者などに与えられているような年金制度改革も重要な課題ではないか。そうでないと人材が工業技術関連職に集まらず、日本は益々じり貧状態になると危惧する。
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